(1) Do you know where it is?
(2) Do you happen to know where it is?
「それがどこにあるか知っているか」という意味では(1)(2)ともに同じです。しかし(2)の方が丁寧な言い方なのです。'happen to'が添えられることによって、「ひょっとしてご存知ではないでしょうか」の意となり、相手が知らないと答える場合の負担を軽くしているからです。(1)はその点の気配りに少し欠けているといえましょう。
'happen to'の代わりに、'by any chance'を使っても、ほぼ同じことが言えます。また'happen to,'と'by any chance'を両方とも使った言い方もよく聞かれます。
(3) Do you know where it is, by any chance?
(4) Do you happen to know where it is, by any chance?
■ 「ひょっとしてご存じではないでしょうか?」のように何かの偶然で、たまたま、と言うときの「ひょとして」は'happen to,' 'by any chance'でよいのですが、「ひょっとして貸してはいただけないでしょうか」のように相手の都合なり意向を問うときの「ひょっとして」は'possibly'です。
(1) Could I possibly use your telephone to ring to the AA?
(恐れ入ります、AA社に電話したいのですが、お電話を拝借できる
でしょうか。)
(2) Could you possibly lend me your pen?
(すみませんが、ちょっとペンを拝借できますか。)
'Could'と一緒に使われるこうした場合の'possibly'は、「もしかしてその可能性がちょっとでもあるでしょうか?」と問うものです。
'happen to,' 'by any chance'は「たまたま」「偶然」が原義ですから、問われていることを知らなくても、それは無教養あるいは不勉強の結果として知らないというものではないとの認識が示されているわけです。一方'possibly'は、無理を強いるつもりはないが可能なことなら「なんとか、できることなら」の意味です。
(1) Perhaps you should check again.
(ひょっとして、あなたは確かめてみるべきかも知れませんよ。)
(2) Perhaps you're referring to my failures, but...
(もしかして、きみはわたしの失敗のことを言っているのかも
知れないが、...)
■ 上の'happen to,' 'by any chance,' 'possibly,' 'perhaps'などは、いずれもこれを添えることによって表現全体がやわらげられます。相手の気持ちに気を配って、決めつけた言い方を避けているからです。こうした働きをする語を「和らげ語(緩和語)」(softener, downtoner) と言います。